2009年01月04日

少年犯罪は急増したのか?

魚沼から電車にて戻ってきました。
帰りの電車の中で
一度読んだことがあったけど、
もう一度読み直しました。

「若者論を疑え!」(後藤和智 宝島社新書)
少年犯罪は急増したのか?

最近の若者は・・・
と嘆き節を聞くようになった昨今。

ケータイ電話やインターネット漬が原因で、
おかしくなっているのではないか。
ゆとり教育で根性や日本人としての精神性が
教えられなくなったのではないか。

そんな論調のメディアを目にすることが多い。

著者はそんな論調に対して、本当ですか?
と訴える。

たとえば。
少年凶悪犯罪の増加。
あるいは、検挙率の低下。

犯罪統計によると、
少年による凶悪犯罪は1997年に一気に増加している。

それには理由がある。

まず。
「凶悪」とされる犯罪の範囲が広がったこと。
「凶悪」犯罪とは、
殺人、放火、強姦、強盗をさすのだそうだ。

このうち「強盗」の件数が一気に増加している。
前年度1000件程度だったものが一気に1700件台に到達。

1997年が強盗ブームでも来たのだろうか。
それとも暴力的なゲームの普及が進んだから
少年の心の闇が一気に噴出し・・・
そんなはずはない。

警察庁長官の通達により、少年非行防止のため厳罰化が進み、
今まで窃盗+傷害で処理されてきた事件が
「強盗」事件として処理されるようになったことが
急増の原因だ。

したがって、「強盗」が増えたのは、
犯罪そのものが増えたのではなく、
「強盗」としてカウントされる範囲が増えただけのことだ。

そして検挙率の低下。
これは1999年を境に一気に起こっている。
警察の能力が一気に落ちたのか、
それとも犯罪が一気に巧妙化したのか?

そんなはずはない。
この年、「桶川ストーカー殺人事件」が発生し、
警察が被害届けを無視していたことが発覚したため、
その後、住民の訴えをきちんと立件するようになったということだ。

つまり。
犯罪が増えているのではなく、犯罪だと認知される件数が増えたのである。
それによって、今までと同じくらい犯人を捕まえても、
認知件数が増えているから数字としては検挙率が一気に下がることになる。

数字にだまされないこと。
メディアに踊らされないこと。

難しいけど。
必要だよね。

若者が勝手に悪者にされないように。


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Posted by ニシダタクジ at 07:33│Comments(0)オススメ本
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