2008年08月22日

発話の「成功」と「充足」

とある大学の先生との
飲み会で、こんな話が出た。
相手の発話を「成功」させること。

たとえば。
中学生が、親に対して
「俺、バンドをやりたいんだけど。」
といったとき。(発話)

「アホなこと言ってないで勉強しろ。」
「バンドなんかやったってメシ食えないぞ」
と返すのは、
この発話そのものが失敗したことになる。

「どんなバンドをやりたいんだ?」
「音楽の何がそんなに魅力なんだ?」
といって、発話を膨らませていって
発話した人が発話の意図を理解してもらうのが「成功」

「じゃあ、ギター買ってやる。」
「家の2階に防音室をつくってやる。」
まあ、そこまでいかなくても、実際に息子が
バンドをすることになるのが発話の「充足」

現実的ではない夢
特にアート系の夢を持った場合、
親子関係や先生生徒関係では、

発話が「成功」することが非常に難しい。
別に「充足」はしなくてもいいのだ。

そうかそうか。
音楽が好きなのか。
バンドしたいのか。
よくわかった。

でも、いまは勉強も大切だと思うよ。
高校入って、アルバイトしてギターを
買えばいいじゃないか。
でも同時に将来のことも考えろよ。

という流れになれば、発話自体は「成功」しているのだ。
バンドをやることにはおそらくはならないが。

親や先生ではなくても、
発話を「成功」させられる関係が
身近にあれば、中高生のストレスはもう少し減るのだろう。

そしてそれは
決して発話を「充足」することができない関係、
つまり、その子の夢に対した支援ができない他人
だからこそ話を聞いてあげて発話を「成功」させることができるのだろう。

だがしやのおばあちゃん。
スナックのママ。

発話の「成功」にとって偉大な職業。
でもそれを一番必要としているのは、
中学生と高校生なのだろうな。

そんな存在を、
場所としての機能を、
僕たちはつくっていこう。


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Posted by ニシダタクジ at 06:28│Comments(0)日記
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