2010年11月11日

何のために医者になったと思ってるんだ

前世界銀行副総裁
西水美恵子さんの講演会。
胸の奥がジーンと熱くなる、
そんな時間でした。

貧困と戦い続けた日々が、
熱くよみがえりました。
詳しくは
「国をつくるという仕事」(英治出版)で。

途上国の貧困の現場。
そこには唯一の希望「教育」さえが
なかった。

学校という建物はあるが、
いつ来るかわからない先生と教科書を待つ
子どもたち。

そう。
そこでは学校は子どものためではなく、
大人のために建つ。

すなわち、建設業者や役人たち。
汚職・賄賂の温床となっているのだという。
医院や保健施設も同じだ。
保護されるべき子どもや病人という弱者が
そこでは貨幣価値の犠牲にされている。

西水さんは
貧困とは、経済社会の過渡期にある現象などではなく、
悪しき統治の結果だと言う。

そしてブータンの寒村にたどりつく。
目の前に医院が見えた。

「またか」
と西水さんは、おそろしくなる。
まともな医者など見たことがなかった。

ところが、
その医院から、医師と看護師と思われるべき人が
出てきた。

思わず、たずねた。
「もっと都会の病院に勤務できたらいいでしょうね。」

医師が応える。
「何のために医者になったと思ってるんだ。」

看護師が言う。
「健康な民は国の礎だと国王が言っています。」

そこには、自らの仕事に誇りを持つ人の姿と、
その後ろに見える、真のリーダーシップが見えた。

雷龍王4世。
ブータン王国を治める、4代目のリーダー。

中国とインドという大国にはさまれる
日常的な危機のなか、
「国民の心を聞こう」と進んで
人の中に飛び込んだ。

雷龍王4世は言う。
「目的と手段を混同してはいけない。
目的は国民の幸せに尽きる。
経済は手段だ。

ある程度の物的満足と
たくさんの非物的満足が
幸せの源泉だと」

いつのまに、わが国は、
物的満足を求めるあまり、
大切な何かを失ってしまったのだろうか。

医師が言った。
「何のために医者になったと思ってるんだ。」

そんな誇りある暮らしをみんなでしよう。


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Posted by ニシダタクジ at 06:58│Comments(0)日記
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